子ども・若者へのご縁づくり

■全国組長会議に参加して
 さる、7月3日〜4日、「このたびの『「法統継承』を機縁として、重点プロジェクトの実践3年目を迎える御同朋の社会をめざす運動(実践運動)の強力な推進と宗門の新たな始まりを展開し、組の円滑な宗務の運営に資することを目的とする」(会開催趣意書)全国組長会が本山においてが開かれました。ここには4班に分かれるものの教団の全組長524名がもれなく本山に招集されました。第3連区に属する私ども和歌山教区は、この日程での研修会に臨みました。
 2014年度 宗務の基本方針として示されたのは次のスローガンです。
   広げよう お念仏の声満ちる社会へ
 法統継承を機縁として − つながる・伝わる・支える −
 研修会ではこの中身が詳しく説明されました。その中で「つながる」については「子ども・若者へのご縁づくり」と「キッズサンガのさらなる展開」が強調されました。十分納得できる内容でその重要性がよく理解できました。これに関わるちょっとした出来事を体験しましたので紹介します。

■「ここで、あのホトケさんにしっかりお願いしたら、勉強ができるようになるで!志望校合格もまちがいなしや!!」
 昨秋、本山、阿弥陀堂にお参りしたときに遭遇したことです。秋10月は小・中学生の修学旅行シーズン。とりわけ、京都には有名な神社仏閣が甍を連ねます。西本願寺にも多くの生徒さんたちが訪れます。昔と違って、中学生ぐらいになると、クラス単位でのバス移動でなく、小人数(3〜4人)がタクシーを利用して、観光ポイントを巡っているようです。もちろん事前学習も積んできていると思うのですが、その場でのガイド役はそのタクシーの運転手さんです。阿弥陀堂内で、数人の中学生を前にした運転手さんの「説明」の中から上記のような言葉が聞こえてきました。運転手さんは毎日、いろいろな宗教施設に生徒を案内しているとはいえ、それぞれの宗教の教義をふまえてのガイドを期待することは無理でありましょう。
 多くの生徒にとっては修学旅行は本願寺との初めてのご縁でありましょう。このご縁を大事にする良き手だてがないものか、せめて真宗のみ教えについて誤解を与えることのないようにすることができないものかと感じたことでした。

■東本願寺で若手僧侶が修学旅行生の案内役に!
 今年6月6日の法統継承式に上洛したおり、5日の即如門主退任式当日、京都駅に少し早く着いたので、東本願寺を訪ねたたところ、山門付近から何本もの幟が立っています。ここでも、何か大きな法要があるのかなと思い近づいてみると、「修学旅行生参拝ご案内」の文字がプリントされています。境内に入ると、阿弥陀堂(御修復中)の前に受付用のテントが張られ、若い職員が3名ほど待機されています。そのお一人にお話を伺いました。
 「今年初めての試みとして、真宗本廟を正しく知っていただくため、5月12日から6月20日までの修学旅行シーズン30日間(期間中の平日のみ)開催しています。世界最大級の木造建築・御影堂や100年に一度の阿弥陀堂の大修復を真宗大谷派僧侶が案内します。一般参拝者が登れない地上約20mの素屋根テラスから古都を一望いただけます。当初、[受付時間]を午前9時集合/午後3時半集合の1日2回、各回60名(定員を超えた場合は、時間をずらしてご案内)としていましたが、生徒さんや学校の都合で、この時間に限ることは無理があるようで、今はこちらのスタッフを増やし対応しています。」
 このような、説明を私が受けている間にも、受付テントにタクシーの運転手に連れられた生徒たち3グループがやってきました。そして、受付がすむと運転手さんに替わり、それぞれに若い布包・輪袈裟姿の僧侶が引率して、境内めぐりに出発してゆきました。
 現在、真宗大谷派青少幼年センターのHPには次のような総括が載っています。
 「2014年東本願寺において開設された「修学旅行生参拝案内所」が無事終了した。30日間で332団体1805名の修学旅行生をご案内した。世界最大級の木造建築である御影堂の広さや阿弥陀堂の御修復現場に触れていただくとともに、仏法や親鸞聖人のお話を交えて真宗大谷派僧侶が案内を行った。修学旅行生の感想文には、この案内を通して仏法に出遇った感動も綴られ、この取り組みの大きな可能性が感じられた。」

■西本願寺も宝の山、お西さんでも是非とも・・・。
 この試みは「子ども・若者へのご縁づくり」の一例として是非とも西本願寺でも行ってほしいものです。多くの文化財で構成され世界遺産に登録されている境内地、まもなく「国宝」指定される両堂、これを生みだし支えてきた教団・門徒衆の力。縁あって西本願寺に足を運んでくださる生徒たちです。少しでも本願寺や親鸞聖人に関心を抱いてくれれば有り難いことです。少なくとも彼らが浄土真宗のみ教えを誤って受け取ってしまう「案内」だけは避けてもらいたいものです。
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏


御坊組組長
湯川逸紀(三宝寺住職)

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