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響け!「平和の鐘」 御坊・日高の空に !



 9月18日、本願寺はこの日に「千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要」を行っています。今年で41回を数えます。
 私はこの国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑を2度ばかり訪ねたことがありますが、それは桜の季節、残念ながら今日まで秋のこの法要にお参りをしたことはありません。
 この法要では宗門として恒久平和の願いを新たにするため、「平和宣言」を行い「平和の鐘」を撞きます。「讃仏偈」に「饗流十方」とお示しのように、仏の教えが十方に響き渡ることを願い、すべての戦没者を追悼し、共に平和への誓いを新たにします。
 そしてこの日、同時刻に各寺でも梵鐘など鐘を撞くことで、千鳥ヶ淵戦没者墓苑から発信する平和への願いを全国に広げる「平和の鐘」の取り組みを勧めています。

 今年はコロナ禍のこともあり、法要は早くからオンラインでとなることが伝えられていました。さらに直前には台風14号が東日本に接近するとのことで、会場が急遽築地本願寺に移されました。
 私はこの「平和の鐘」を日高別院で行いたいと考え、9月13日三宝寺で行った「オンライン公聴会」の視聴会に参加して下さった御坊組組長青木和教先生と門徒教区会議員の細谷廣延氏にお誘いしたところ快諾して下さいました。(勿論、別院副輪番さんの了解も得ています)

 当日はこのお二人に加え、知人たち12名が別院に参集してくれました。計15人が一人一撞、入れ替わり立ち替わり、決められた13:15から撞き始め、予定を少しオーバーしましたが、全員が平和を希って大切に日高一の大梵鐘を響かせました。

  

 この法要日の9月18日は、15年にわたる「アジア・太平洋戦争」につながっていった「満州事変」の発端「柳条湖事件」が1931(昭和6)年におこったその日です。宗門が発表した「千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要の願い」の文章中に法要の意義を次のように示しています。
 「国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で追悼法要を修行することは、日本の侵略戦争に協力した私たちの宗門の過ちを反省し、慚愧の思いをもって、戦争のない世界を築くという願いのもと、平和への誓いを新たにすることに他なりません。本法要を機縁として、全ての戦没者の方々を追悼するとともに、今後ともそれぞれの立場で非戦平和への取り組みを進めさせていただきましょう。」

 ちなみにこの日高別院の梵鐘は、戦時中、「金属類回収令」によって一旦供出させられたものですが、溶かされて兵器にされるに至らず、香川県直島の精錬所から返されてきたものです。(このような梵鐘は郡市内に4口あります)鐘の胴には、金属検査のため開けられた孔が7つあいているのが確認できます。貴重な「戦争遺産」です。

  

 再び戦争の惨禍を繰り返さないためには「15年戦争の被害・加害・責任」をしっかり学ばなくてはなりません。
 その意味でこの9月18日は大切な日であり続けることでしょう。
 私としては本山のこの法要に呼応した日高別院での「平和の鐘」はささやかなイベントですが、御坊組の行事として定着してほしいと思っています。




                     南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

                            入山三宝寺住職 湯川逸紀












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